2017年7月10日月曜日

善人がバカを見るしくみ


 どうにもやるせなくなった話。

 

最近、知人である男性と電話で話をしていた。

 

後ろから聞こえてくる音声が病院ぽいので、割と気軽な感じで

「病院から電話してきてくれたんですか?」って聞いてみた。

 

すると「今から入院するから、その前に電話した」とおっしゃる。
 
 
 


 

ええーーー!!??

 

彼はここ10年、ひとりで認知症のお母さまを同居で

介護していた人だ。

 

結構、壮絶だった。

 

どうしたって仕事をしなければならないから、出かけると

お母様は徘徊の旅に出かけてしまう。

 

結果、行方不明になったり、遠くの警察に迎えに行ったり

なんやかやで、仕事にもダイレクトに影響が出てしまう。

 

当然、介護保険の範疇での助けが来るのではあるが

「足りない」のだ。

 

結局、介護10年めの年、お母さまは徘徊先でひどい骨折となり

老人病院に入院された。

 

長期で預かってくれるお安いところが見つからず

入退院を繰り返していたが(それも介護者には老人居場所確保に

奔走しなければならないので苦痛以外の何物でもない)

最期は呆気なく誤嚥で逝ってしまった。

 

きょうだいはいるのであるが、理由は知らないが

子どもは彼しかいないかのようだった。

 

お母さまの死後、財産としては彼とお母さまが暮らした一軒家だけが遺った。

 

その相続に「きょうだい」が名乗りを挙げたのだそうだ。

 

現在の法律では、どんなに介護をしようが、同居で頑張ろうが

相続人が均等に分けることが定められており

 

それを防ぐには公証人役場で遺言書を遺すか

保険金として介護人名義にしておいてもらうくらいしか手がない。

 

認知症のお母さまにはそのふたつとも不可能。

(認知症というだけで、財産系すべては事実上ストップする)

 

彼はその20坪の家を売って、半分をきょうだいに渡さなければ

ならない。でも、自分はこれから何処に住もう?と悩んでいたが

 

その電話で私にこう言った。

 

「半分、(きょうだいに)渡すつもりだったけど

全額になるかも・・・」

 

「この冬、おふくろの具合が悪くなった時に、自分も体調が

悪かったんだけど、ストレスかと思って、自分は病院に

行かなかったんだよ。

で、亡くなって、ようやく落ち着いてきたから、病院に

行ってみたら、即入院ってわけ」

 

目の前が真っ暗になった。

 

私にも経験があるからだ。

 

母を自分の地元に呼んで、そのキーパーソンになった半年後

自分ではわからなかったが、ストレスだったのかもしれない、

病院送りになって手術したことがある(憎まれっ子何とやらですぐに生還)。

 

そして、この度の母死去に伴うあれこれの半年間で具合が悪くなった私は

母の危篤時にドクター命令でCT指示が出るという始末

(憎まれっ子何とやら2で即生還)。

 

結果、何でもなかった私でさえ渦中は「なんで、こんな目に!?

これだけやらされていて、こうなるって、どんだけ!?」と

いろんなことにムカついていた。

 

しかし、彼は本当に孤軍奮闘だったし、生活そのものを

彼が誰だかの判別もつかないお母さまに侵食されていたし

 

それで、ようやく解放されたという矢先に下った診断らしい。

 

何だろう? この不平等感。

 

私自身は子どもが自分のために生きたい人生も歩めず

お荷物になるくらいなら、生きていたいとは到底思えないし

(まあ、その判断が認知症ではつかないのであるが・・・)

 

その死後「当然の権利」を主張するのはどうなのかなぁと思うけど

(しかも、その権利を主張する人ばかりだけど)

 

善い人が報われないと感じることは切ない。

 

それどころか、周りを見渡すと、善い人ほど

そういう憂き目にあっている。

 

「やりきった感」と折り合いをつければいいのかとも思うし

お金は自分で稼げばいいだけだが

 

それと健康とを天秤ばかりにかけてしまうとやるせない。

 

他人事ながら泣けてくる。

 

彼には何としても完治して、警察や病院からの電話に

怯えないで済む日々を謳歌してほしい。

 

 

 

 

 

2 件のコメント:

  1. こんにちは。

    中学受験と同時に介護もスタートしたものです。受験は無事、終了!!

    私は善人ではないけど、本当に世の中、理不尽な事だらけ(涙)
    中学受験の時は、いじめっ子が難関校に合格し塾のヒーロー。
    介護では、私だけでなく、キーパーソンをやっている人間からは誰も同じような
    理不尽な話ばかりを聞きます。
    水戸黄門大好きな私には、本当に切ないことだらけの世の中です。

    皆さん、こんな世の中にどうやって折り合いを付けていらっしゃるのでしょうか?
    佐藤愛子先生なら何とおっしゃるのか?

    でも、私、祈っています。
    りんこさんの知人の男性が元気になられる事を・・・
    絶対元気になって!!そして、ご兄弟の方が、事情を察して相続放棄される事を!!

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    1. 無事の受験終了、おめでとうございます!!
      介護とダブルでは、とんでもなく大変でしたね。
      よく頑張ったね(母が)。
      偉い!!

      世の中は「PTA役員を死んでもやらない人」と

      「働いていようが、介護があろうが、それでも
      手を挙げてしまう人」に分かれていて

      一見、やらない人はラッキーで
      やる人は体力、気力、財力共に持って行かれて

      ストレスフルに感じちゃうんだけどさ

      ひとつ言えるのは「やったから得た」っていうものが
      絶対にあるよなぁって思う。

      それを天秤ではかって、得た物が軽いと悲しくなるけど

      悲しくなったら、その次に、そういう人は
      悟りの心境になるような気がする。

      それはそれとして、次に行こう!みたいな感じだけど
      現実は次から次へと難題が押し寄せて来て
      過去をあーだこーだ言えないくらい必死にならざるを得ない
      ってことなんだと思う。

      知人の回復を祈ってくださりありがとね。




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